【絵画な食卓 浮世絵編授業レポート】
まず最初に、歌川広重や歌川国貞、歌川豊国、月岡芳年の浮世絵を鑑賞。旅の途中にひと休みして美味しそうに握り飯を頬張っていたり、美人が天ぷらをつまんでいたり、花見の席に寿司が並んでいたり、屋台の側で蕎麦を啜っていたりなど、当時の人々の食風景も生き生きと描かれていて、見ているだけでお腹が空いてきました。
そんな江戸時代の光景に想いを巡らせながら、講師である久保田昌司先生に和食を学びました。この日の献立は、鰹なます、浅蜊ぬた、蒲鉾、白和え(蕗)、蛸やわらか煮、鳥くわ焼、茄子揚げ煮、煮物(竹の子、蒟蒻、人参)、鰆木の芽焼、焼豆腐田楽、出し巻玉子、海老おかき揚げ、鱚磯辺揚げ、天ぷら(丸十、一寸豆)、瓢型押し寿司、酢蓮根、紅生姜。
これらをつくって、詰めて、豪華な行楽弁当に。一箱に、様々な味や調理法が詰められた献立でした。
魚の処理や野菜の飾り切りなど、先生の包丁さばきや所作に見とれつつ、お米の洗い方や乾物の戻し方、煮物の味付けのコツなど、普段の料理に活かせるポイントにメモの手が止まりません。豆知識として、サツマイモを丸十(薩摩藩の家紋)と言うことも初めて知りました。
いろいろな食材が一年を通して入手できる現代とは違い、その季節に採れるもので暮らしていた江戸時代。旬の食材を余す所なく美味しくいただくためにさまざまな調理法が発展し、そんな知恵の集積が「和食」になります。「和食は基本さえ身につければ大丈夫」と先生が仰っていましたが、その基本を改めて学びたいと思いました。特に今回ふんだんに使った出汁は重要で、参加者の皆さんの関心も高いものでした。
また、盛りつけも参考になる点がたくさんありました。例えば、浅蜊ぬたの器として使った竹は、先生自ら伐り出したものだそうです。笹の葉や枝など、野にあるものを取り入れたり、飾り切りするなど、目でも季節を愛でる、その心も素晴らしいです。
そうしてお弁当が完成した頃には、おなかもぺこぺこ。一見、量が多そうに見えますが、それぞれの味や食感の違いも楽しみつつ、完食してしまいました。疲れた時は、和食を食べると、ほっとする感じになるのは、体が求めているからかもしれません。ユネスコの無形文化遺産として海外からも注目されている和食ですが、今一度見直したくなる素敵な講座。ぜひ第二弾もお願いしたいです。
【授業報告:新居田真美】