今回の講師は、田中和彦さん。
ある程度の世代以上の方なら、ラジオやテレビでご存知かと思いますが、
Mr.南海放送とも言えるような方。
初めは緊張していましたが、座談会的な雰囲気で、ざっくばらんにお話していただき感激しました。
田中先生は、「ラジオで一生過ごしたい」と思っていた、まさに、根っからのラジオマンです。
学生の頃から、ラジオドラマの脚本を書き、現場でドラマ制作をしたいということで、
アナウンサーになられたとのこと。
まず、南海放送で製作された数々のラジオドラマ作品を紹介していただきました。
田中先生がドラマに取り上げてこられた題材は愛媛の偉人。
郷土史を研究されている方々からお話を聞き、そこからドラマを膨らましていくそうです。
伊予市に残る源範頼の墓と漱石、子規の話や、道後温泉にある聖徳太子の温泉碑の話。
瀬戸内水軍の村上武吉、アラスカで有名な和田重次郎などなど、
歴史の中に埋もれていることを、掘り起こしていきたい。
高知の坂本竜馬、鹿児島の西郷隆盛のような立派な偉人が、
この愛媛にも居たんだよ。ということを知ってほしい。
そんな田中先生の想いが伝わってきました。地元に居ても、なかなか知らない興味あるお話でした。
いろんな引き出しがあると、面白い作品が書けそうです。
それから、小説とラジオドラマの違いを教わりました。
小説は、書き手の描写力が表現の全てになりますが、
対してラジオドラマでは、効果音や音楽で演出する方法が取れます。
演出家と協力することで、簡単にドラマの世界を作る事ができるのです。
実際の台本を見ながら脚本を書く上でのポイント。
・夢の中のように何でも出来る=妄想を膨らませること。
・基本はセリフのやり取りとナレーションで展開。
・書き言葉になっていないか、声に出してセリフを読む。
・印象付けたいワードはリピートする。
・急な場面転換には、BGMをカットインする。
などなど、実践的な手法も教えていただきました。
だいたい、人は15分程度で飽きてくるそうで、15分毎にリスナーが入れ替わるというのを意識しながら、ドラマの展開を考えていくといいそうです。
製作現場では、脚本家、演出家、演者で打ち合わせしながら作っていくそうです。
時には、原作から離れてしまうこともあるようですが、自由に作ってしまえるというのも、
ラジオドラマの興味深いところだと感じました。
次回は、みんなが書いてきたドラマ脚本を発表する予定です。
課題のテーマは、失恋とその思い出の曲。
田中先生の場合、まずはエンディングロールを意識して、主題曲を選曲しておき、
物語の終わりを考えて組み立てていくという手法で作っているそうです。
受講後、ドラマ「オーロラになった侍」を収録したCDを戴きました。
目を瞑ってラジオドラマを聴くと、光景が見えてくるようです。
ラジオの奥深さに魅了され、新たな楽しみ方を知ることが出来ました。
最近、ラジオというメディアが見直されつつあるように感じます。
視覚に訴えるテレビとは違い、音のみで妄想力を膨らませるラジオ。
みなさんにも、ぜひ、もっとラジオを聞いてみていただきたい!
と思いつつレポートを締めさせていただきます。
【報告:鵜久森 正輝】