興居島泊地区で古くから行われていた祭「十七夜」は、厳島神社を拠点に行う神事で、踊り手は神社での舞を奉納後、飾られた船に乗り祠へ向かい、そこでも舞を奉納します。これらは泊地区では伝統行事でしたが、由良地区など他の地区では知られていませんでした。そして、対岸の市内中心部では知る人はほとんどいませんでした。
そんな「十七夜」を知ることになったのは縁で、島民の「祭が寂しくなってね・・・」という一言でした。島について、祭について知らない私達が伝統行事に参加できるのだろうか?と心配もよぎりましたが、宮司も総代も町内会長も皆さんが口を揃え「祭がにぎやかになることはいいことだ!」と外部の人間の参加を面白がってくれたことが全ての始まりでした。
十七夜で飾る提灯は、各家庭で調達するのが習わしでしたが、人口減少で提灯が調達できません。最初の課題は「てづくり」で解決しました。既製品の提灯は高く、安物では飲み屋になってしまいます。提灯の創作は「風船と和紙」を活用したオリジナル提灯となり、「願い提灯」と名付けました。
作り手の一つ「興居島小学校、中学校」では校長先生、教頭先生が積極的に参加くださいました。こども達に地域の行事を体験させたいとの思いが結実しました。デイケアサービスでは昔の「十七夜」をご存知の方もおり懐かしがった方、喜んだ方が多くいたと担当の方から感想をいただきました。そして市民も参加しました、興居島出身者、祭好きな方などのべ120名以上が参加し計180個の提灯が完成しました。
飾りは「厳島神社」をはじめ「興居島フェリー」「待合所」「沿道」に飾らせていただきました。昨年とは異なる光景に島民の方は足をとめ、カラフルな提灯を眺めていました。「ありがとうね」と声をかけられた時、(お礼を言うのは私達です。)と思いました。ご縁ができなかったら十七夜も知らなかっただろうし、提灯をつくることもありませんでした。提灯の数が多かった昔、対岸の高浜港から提灯の灯が見えたそうです。しまのわ分校として行った授業ではありましたが、来年もしたい!と強く思い帰りのフェリーに乗りました。この場を借りて、ご協力いただいた皆さまにお礼申し上げます。来年もよろしくお願いいたします。
【実施レポーター:泉谷昇】