午前10時前には、真夏の太陽がジリジリ。セミの鳴き声が、ニイニイニイ…。ジージージー…。シャワシャワシャワ…。子どもたちのほとんどが、お母さんと一緒に集まってきた。
先生の松田さんが、今日のセミのぬけがら集めについてお話しされたあと、さあ出発。竜王公園の長い長いフジ棚の道を、セミのぬけがらを探して歩く。初めのうちは、みんなの目が慣れなくてなかなか見つからない。やがて、ひとつ見つけ、二つ見つけしているうちに、子どもたちは夢中で探しはじめる。探検隊の列が長く伸び、お母さんたちまでも、先に立ってぬけがらを集める。ぬけがらを入れたフィルムケースがどんどん増えてきた。
途中で、松田さんがセミの羽は片側に2枚ずつあるけれど、飛ぶときにはその2枚の羽はお互いにひっかかって、まるで1枚のようになることや、オスとメスのちがい、どうやって鳴くかなど、じっさいに捕獲したアブラゼミとクマゼミで細かく教えてくれた。
スタートして約1時間半後。公園をほぼ一周して着いた公園内の屋根の下で、みんなが集めたセミのぬけがらをテーブルに出して、松田さんはぬけがらの見分け方を伝授してくれた。
今回は、大半がアブラゼミのもので、クマゼミとニイニイゼミが少し、そしてツクツクボウシが1つということで、この時期、この公園では4種類のセミがいるということだった。愛媛には14種のセミがいて、松田さんは13種までぬけがらを集めているという。それらを集めるには、内子町だと小田深山や石畳まで出かけなければならないらしい。
セミとひと言にいっても、こんなに種類があって鳴き声もちがう。たしかに、わたしが子どもの頃も、捕るのに夢中ではあったけれど、その鳴き声で種類の違いは分かっていた。
今回のセミのぬけがらで、セミの種類を知るというのは、子どもの頃には思いつかなかった。生命を奪うことなくセミを知るという、これまで考えもしなかった視点に気づかされ、懐かしさ以上によい体験ができたと思う。(報告=Tossy)