標高1200メートルを越える、日本でも最も高い場所にある自然に恵まれたカルスト台地「四国カルスト」が今回の教室。集合場所の大野ヶ原は総人口約90人。しかし、牛の数は約10倍の900頭いるという、県内有数の酪農地域です。
そんなお話をこの日のサブ講師である、西予市ジオガイドの福井さんから伺ったあと、平家の落人伝説が残る「源氏ヶ駄場」へ。
源平合戦に敗れた平家の残党が、白い石灰岩を“源氏の白馬の大群”と見誤ったというお話に、時空を超えてセピア色のシーンがまぶたに広がりました。
続いて松井康之さんの案内で、大野ヶ原に残る“森の母”といわれるブナの原生林へ。大野ヶ原を開拓した人たちが伐採阻止運動の末に守った広大な原生林。この原生林が蓄えた水が、今を生きる集落の人々や家畜、生きものの命を支えているということを知りました。
大野ヶ原の自然と歴史・文化を肌で感じながら、自然は壊すのは一瞬だけど、失ったものを再現することは難しく、保全することの大切さを学びました。
夜の第2部では、専門は地学で天体にも造詣が深い松井先生の「宇宙」を考える授業。立派な天体望遠鏡を持ち込んでの天体観測会となりました。
幸運なことにこの日は新月の夜で、空一面が満天の星で彩られるほどの好天に恵まれ、先生が興奮するほどの観測日和。わたしもこれほど天の川がはっきりわかるほどの星空は、かつて見たこともなく感動しました。
先生のお話はとても壮大で、あまりのスケールに頭がついていけないほど。ただそれに比べると日々の問題がとてもちっぽけに思え、思考を広く大きく持てば良いのだということを教えられました。
七夕のお話や、星座の見方もとてもおもしろかったです。生物多様性というと地域単位での保全への取り組みがなされていますが、地域から国、国から世界、世界から宇宙規模で考えると、いかに大きな問題であるかが理解しやすいと気づきました。
日付は変わって翌日。さんきら自然塾の水本孝志さんによる天狗高原での自然観察会がスタート。水本さんいわく、今日の先生は自分ではなく自然だということで、フィールドに向かって「よろしくお願いします」とあいさつ。
高原一帯に咲き誇る黄色のハンカイソウや、足下にひっそりと咲くヒメユリやヒトリシズカなどの可憐な花や、美しい大型の蝶アサギマダラなどと出会いながら、涼しい森の中を散策しました。
最も感動したのは授業が終わってからのこと、わたしたち大人はすっかり忘れていたのに、参加者の子どもが最後に散策した森のほうを振り返って「ありがとうございました」とあいさつしたこと。
失いかけていたいろんなことを思い出させてくれた二日間でした。自然に「ありがとうございました」。
【授業報告:カレンフェルト】