今回、いよココロザシ大学主催の「愛南びやびやかつおはなぜうまいのか」実体験講座に、大分県から海をわたって参加しました。私が料理好き、おいしいもの好きなのを知っている授業コーディネーターのMさんに声をかけていただいたのが、受講のきっかけです。
私は鹿児島の海のそばで生まれ育ったのですが、今生活しているのは海から少し遠い場所です。「びやびや」という楽しいネーミングにひかれ、ただただおいしい旬のかつおが食べたい。それだけの動機でしたが、授業日の直前にテレビで「びやびやかつお」が紹介され、明日はあそこで本物のびやびやかつおが食べられる!と思うと、申し込んでおいてよかったと胸が高鳴ったものです。
さて授業当日。まず、愛南漁協の藤田さんに同漁協が運営している深浦漁港を案内していただきました。この漁港は漁師さんのために、吊り竿や釣り針をはじめ、当座に間に合わせるために発泡スチロール製のトロ箱も多品種少量で取り揃えてありました。また、冷凍庫も広く、魚の鮮度を保つための氷を提供する設備も万全で、改めてすごいなと思いました。
そのあと、市場食堂で食べたびやびやかつおの刺身のおいしかったこと。もちもちとして弾力があり、生臭さもなく、衝撃的な味でした。私が今まで食べてきたかつおは何だったのか。びやびやかつおは漁師さんの熟練の絞め方(血抜き)や、新鮮さを維持しようと努力していらっしゃる漁協のみなさまの合わせ技なんだろうなと思いました。
その反面、ちょっと驚いたのは、刺身になっているのは重量比でいうと全体の半分くらいで、それ以外は大半が廃棄されているということです。特にアタマの部分は切り落とすとそのままゴミ箱へ。絶対においしいダシがとれるに違いないので、これはもったいないなと思いました(翌朝、市場を見学に行くと心臓やハラミの部分が売られていました。)
愛南町のびやびやかつおが、エサとなる生きたカタクチイワシの入手場所と近いこと、さらに漁場からの距離(釣り船で日帰りできる)など、さまざまな好条件によって、四国一のかつお水揚げ量を誇っていることも初めて知りました。最近はカタクチイワシの養殖も研究されていて、全体として漁獲量が減るなか、「びやびや」ブランドへの期待はますます高まっているようです。
今回は「生物多様性」がテーマということでしたが、私にとっては「びやびやかつおは最高においしかった。夫や友達を誘ってまた愛南町へ行行きたい」というのが正直な感想です。でも、かつおは新鮮なエサ、豊かな海環境があってのこと。この授業を機会に、これからはそういう「食の周辺」のことにも目を向けていきたいと思っています。(報告=原田とも子)