池上先生は、長年カイコの研究をされていた方だそうです。カイコがどのような生きものであるか、また農家でどのように飼われていたか、そしてカイコと人間の関係について、縦横無尽にわかりやすくお話をしてくださいました。
かつて、カイコは「おかいこさま」と、「お」と「さま」を付けて呼ばれていたそうです。絹糸の材料になるマユが高値で取り引きされていたため、2つの敬称が付いていたのだとか。それほど大事に育てられていたのですね。
生きものとしてのカイコは脱皮を5回繰り返し、その後マユになります。なぜマユを作るのかというと、サナギである我が身を守るため。池上先生は、自らの体から出す絹糸でできたマユは、温度も湿度もちょうどよい状態に保たれた最高のカプセルだといいます。
本来なら、サナギはマユを出てガに羽化するのですが、そのまえに人間がマユをいただいているわけで、本当に気の毒な話です。
また、カイコにも種類があり、品種改良によって、よりツヤのある糸を吐くカイコが生まれているそうです。自然界にも天蚕(てんさん)という緑色のマユをつくる蚕(ガ)がいますが、これは色の美しさは申し分ないのですが、ツヤはそこまでないとか。
というようなお話を聞いたあと、マユで人形を作りました。カイコについて知らないことばかりで、とても勉強になりました。(報告=MM)