宇和島の土居真珠。授業では若社長の土居一徳さんが、宇和島の真珠養殖と、誰もが知りたい「よい真珠の見分け方」を伝授してくれました。
真珠はふつう、真珠母貝養殖業者がアコヤガイの稚貝を育て、一定の大きさの貝になってから真珠養殖業者(土居真珠さんも養殖業者)が、ドブガイの貝殻でつくった核をアコヤガイの生殖巣に外套膜とともに挿入することから始まるそうです。
なぜ、真珠がつくられるのでしょう。二枚貝は自分のからだのなかに異物(核)が侵入すると、それを排除するために、核に貝殻と同じ性質のもの(真珠層)を巻き付け、自らのからだに害がないように身を守る性質があります。それを利用して人工的に丸い核を挿入し、できるだけ厚い真珠層をつくるようにしているのが、養殖真珠です。
とはいっても、核そのものが直径7〜8ミリあり、真珠層は0.3〜0.4ミリほどだそうです。ちなみに天然の二枚貝だと、砂が体内に入っただけで同じようなことが起こり、「けし」と呼ばれる独特の天然真珠が見られたりします。
核入れされると、1年ほどで真珠がつくられ、冬場に取り出されるといいます。2年おくと大きな真珠が期待できますが、貝そのものが死んでしまう危険性も高くなり、多くは1年で取り出されるそうです。また、そもそもすべてのアコヤガイで真珠が育つわけではなく、また真珠がつくられても商品にならなかったりで、意外に効率はよくないそうです。
授業では核入れの映像を見せてもらい、また土居さんがアコヤガイを持参し、そこから真珠を取りだすのを実演してくださいました。貝から真っ白な真珠が出てくると、みんな「キャーッ」と大きな歓声を上げていました。
そのあと、真珠の見分け方を伝授してくれましたが、ここではみんなの目の輝きが違ってきました。真珠は大きさ、形、色、真珠層の厚さ、光沢、真珠のえくぼの6項目で、よいものであるかそうでないかが決まるということです。土居さんは、実際にどれくらい真珠の良し悪しがあるかを、販売価格のちがう真珠のネックレスを目の前において、示してくれました。思ったより簡単で、この見分け方のコツを覚えておけば、もうだまされない!と言いたいのですが…。
授業を受けたお一人が、ご自分の真珠をもっていらして、土居さんにその良し悪しを聞いていましたが、土居さんの答えは、「その真珠はいいものだけれど、肝心なのは持ち主の思いです」ということでした。
アコヤガイという生きものがつくり出す真珠。きれいな海で植物プランクトンを食べて育ちながら、体内では真珠がつくられ、ことに女性を飾ることになる。こんな生命と人間の関係もあるということを感じましたが、それ以上に美しい真珠には惹かれてしまいます。
(報告=D・T)