初めに、私は本を読むのが好きな人間です。
いわゆる雑読屋で、萬画や旅行ガイドから、ライトノベルや文学、大学教授の論文まで、
読んで面白いものなら、なんでも読みます。
で、好きな小説のジャンルと言えば、SF、アクション、サスペンス等、現実世界の非日常を日常とする話なんです。
そんな私が、日常的な人々が織りなす日常を描く、村上春樹を読んだ切っ掛けは、
高校生の時、国語担当の教諭に『ノルウェーの森』を薦められたからです。
薦められたとゆう事は、その作品に、私が読むと有意義だと、判断されたから。
まして私の国語成績を熟知している国語教諭からの推薦。これは読まねばならぬと、手にしました。
そして、拙い頭脳には、やはり難解な日常描写。
超能力者も、恒星間宇宙船も、行く先々で殺人事件が起こる名探偵も、出てこない。
しかし、次々と滑らかな言葉で、まるで優しいジャズを聞きながら、ゆっくりスコッチを舐める様な心地よい文章が、蕩々とつづく。
萬画で言うなら、わたせせいぞうの様な世界。
そこで新たな価値観を知りました。
そして、そんな村上春樹の世界をこよなく愛する方々と、作中に出て来る、
美味な料理を味わう機会に参加出来た事は、私の人生に新しい1頁を加えてくれました。
一つの作品に一つの物語ではなく、各作品の装丁や、作者村上春樹氏自身への感想や想いなど、
読者の数だけ、物語がある事を改めて実感しました。
各料理は、それぞれの作品でのテキスト付きで、作中の言葉だけで表された、曖昧なレシピから、
丁寧に吟味され、完全に奇抜な物ではなく、食べ慣れた味から、懸け離れず、
しかし、確実に食した事の無い味ばかりでした。
フィクション世界の物を、リアルに引き寄せ、改めて物語を、文字通り“味わう”とゆう二次創作の一つの形だと、思いました。
最後に、素敵な場所と、味も盛りつけも美しい料理を提供して下さった“enowa”さんに感謝と敬意を表します。
ありがとうございました。
【報告:ZIN】