愛媛県西予市野村町もシルクも縁もゆかりなかった私が、ひょんなご縁で東京から「シルク(伊予生糸)の町、野村町とジオパーク」授業に一泊二日で参加させて頂きました。ただ、ひょんなとは思えない充実の1日になりました!
充実の研修を羅列すると・・・。
養蚕業(ご存知のように日本の養蚕業は衰退の一途を辿っています)が、期待の星として50年ぶりに新規就農した阿部さんの作業場、伊予生糸(シルク)の歴史や伊予生糸の製造現場としてシルク博物館(伊予生糸は地理的表示保護制度(GI)に2016年2月に登録されました)、50年以上養蚕に取り組まれている松下さんの作業場の壁に手書きされた、これまでの出荷量のメモに歴史の厚みを感じたり、夜は野村町へ移動し、野村町の皆さんと「芋炊き(川蟹が入った特別な鍋でした)」などを囲み、40人以上での大懇親会。養蚕業の現場から、歴史、現状と基本的な部分を一気に学べて、地域の方との交流まで出来てしまったんです!
懇親会後は宿泊施設に移動し、伊予糸を通した新しいプロジェクトの作戦会議。ひょんな縁というのはこのプロジェクトがあったからなのです。伊予生糸を繋げていくべくプロジェクトがスタートしています。現在、愛媛県の養蚕農家は7軒と非常にピンチな状態が続いています。しかし、このプロジェクトと共に養蚕業が再び盛りあがりそうな予感がした夜でした。
(授業レポート:山崎卓)
現在7戸の養蚕農家が作る野村生糸は年間1300キロで、納入先は龍村美術織物、伊勢神宮、清水寺。「西予市野村シルク博物館」でそう教えてもらいました。趣味で通う草木染め教室で野村産のシルクを使ってみたいという夢は、まさに夢に終わりました。いつの日か、身近に使える日が来るとうれしいです。
授業では養蚕農家の阿部さんから、蚕の成長や未来に向けての取り組みを伺いました。また養蚕農家の松下さんご夫婦が、長年蚕を慈しんでこられた様子には胸を打たれました。時代は移っても機械化できない、惜しまない手間をかけ、出来上がるのが最高品質の野村生糸なのだと思いました。
翌日は城川歴史博物館、穴神洞穴遺跡を訪問しました。同じ愛媛県に住みながら知らないことばかり、特に人骨は驚きでした。
二日間を通して、野村町と城川町の地理、歴史、産業、グルメなどを多角的に学ぶことができました。また現地の元気な方々や、様々な目的を持って全国から集った学生の方々とご一緒できたのもよい刺激です。一主婦とは異なる視点からのアプローチを、驚きながらも楽しく拝聴しました。思索の渦が幾重にも湧き上がる楽しい授業でした。初参加の機会を頂き、ありがとうございました。
菅野 典江