私がこの授業に参加を決めた理由は「ダイアローグ」という言葉に惹かれたからでした。でも、実は懸念もありました。「たった1日だけを共にする人と、ただの情報交換である『会話』でなく、『ダイアローグ(対話)』ができるのか」、「自分自信と向き合う余裕はあるかな」などです。
結果から言うと、参加者全員とダイアローグすることはもちろんできなかったけど、複数の方と人生の価値や信条についてやり取りすることができました。そして私自身と向き合う術を学び取れたことが大きな収穫でした。
一番印象に残っているのは、その日初めてお会いした方とのダイアローグ。その方がこれまでの人生で大事されてきたことの1つは「選択に迷ったら厳しい方を選ぶ」。
これまで生きてきた中で、その時は無謀に思えた選択が、結果的には良い変化をもたらし、それらが積み重なって、今とても充実した毎日を送ることができているとお話いただきました。実は私自身、これからの生き方について少し頭を悩ませていたのですが、人生を俯瞰する視点を思わぬ方に思わぬタイミングで気づかされたことに驚きました。
最近は、様々な分野のワークショップで、ダイアローグできる仕掛けづくりが見られます。でも今回の授業を経て、ゆったりした時間と自然と、それを他者と共有したいと思う人々に勝る仕掛けはあるだろうかと感じました。スタッフのみなさん、参加者のみなさん、素晴らしい授業をありがとうございました!
【授業レポート:泉谷道子】
朝早くから津和地島へ渡り、亀川旅館へと到着し、その日のレクチャーを受け、早速島内で景色の良い所へ散策へ向かった。津和地島は松山市中島町の西端の島で、島内の山に登れば山口県、広島県の島々が見渡せる所である。山頂付近までは1時間程度歩いて向かい、一緒の参加者たちとよもやま話をしながら歩くことも楽しみの一つであった。日差しも徐々に強くなっている最近では汗をかきながら、坂道を上ることになったが、そこから視界が開けて柱島(山口県)、鹿島(広島県)と穏やかな海と雲一つない青空が目に入ってくる。これは絶景としか言いようがない風景でしばらく見呆けてしまうような景色であった。
その後亀川旅館へ戻り、昼食となった。鯛めし、鯛の刺身、メバルの煮つけ、玉ねぎやタケノコの天ぷら、海そうめん(年に5月の数日しか取れないもずくのようなもの)に汁なしうどん(津和地島で冠婚葬祭で出る料理)など、朝から歩き詰めだったせいもあり、とてもおいしくいただくことができた。普段食べることのない地のものもこういった機会であればこそだと思う。
昼食後には洞源寺にて座禅体験をすることになっていた。座禅は一度だけしたことがあったが、基本的に頭の中を空にしていくもののようであった。逆に普段仕事やその他の雑事に振り回されて頭がいっぱいになっている我々にとっては、逆に何も考えず、周りの音や風を受け流していくことが、心と体のリフレッシュになるように感じた。特に趣味で演劇をしている私にとっては、半眼で背筋を伸ばし、雑念を消していく過程は、体との対話(たとえば自分自身の呼吸や体勢など)と心を鎮める効果があったと思う。仏教でいう覚悟のようなものを一瞬感じることもできたように感じるが、それは泡のように一瞬で消えてしまい、言葉で表現することも難しいが、体験を通してその感覚を共感していただく方がいらっしゃれば幸いに思う。
【授業レポート:川田秀徳】