台風並みの低気圧通過により、当日の朝まで続いた強い雨風にハラハラしながら、家族4人で参加しました。今治市村上水軍博物館の学芸員、田中先生の「僕は晴れ男なので絶対大丈夫です。」の言葉通り、天気は徐々に回復し、無事、能島めぐりをすることができました。
宮窪港からフェリーに乗り、数分で能島到着です。能島に上陸すると、目の前には美しい桜の木。「きれいねぇ〜。」と山道を登っていくと、さらにたくさんの桜、桜、桜……。そして、海の向こうに見えるのは、白く輝くしまなみ海道、伯方・大島大橋。素晴らしい景色に、みなさんのシャッター音がそこかしこから鳴り響きます。
桜と景色に見とれつつも、みなさん、田中先生のお話に熱心に耳を傾けていました。能島は、中世に活躍した能島村上水軍の本拠地と考えられており、小さな島全体を城にしているため、「海城」と呼ばれているそうです。
様々な建物跡が発見されており、海外から輸入された陶磁器や中国のお金なども多数見つかっているということ。実際に発掘調査が行われた場所での説明は大変わかりやすく、発掘中の写真と今の様子とを見比べながら、繁栄当時の能島城へと思いを馳せました。
最後に田中先生が気になる話をされました。能島の桜(ソメイヨシノ)は昭和初期に植えられたもの。その根が、能島の地中に埋まっている遺跡を破壊しているというのです。
実際にその写真も見せていただき、びっくりしました。桜は場所を変えれば復活させることはできるけれど、遺跡は一度壊れると復活できません。各地で動植物が大事か、文化財が大事かという議論が起こっていますが、能島では動植物の時間的スケールと文化財の時間的スケールの違いを考え、後者を大事にする方向で管理していくということでした。
そんな能島から宮窪港へ戻ると、なにやらいい匂いが漂っています。『浜のマルシェ』が始まっていました。焼きたての海の幸や、ほっかほかの炊き込みごはん……。宮窪のごちそうに舌鼓を打ちつつ、地元・宮窪小学校の子どもたちによる、水軍太鼓の見事な演奏に聴き惚れました。
ツアー終了後、『村上水軍についてもっと知りたい!』と言い出した10歳の姪の希望で、私たちは村上水軍博物館へと立ち寄りました。復元品の船や能島村上家の子孫に伝わる品々など、貴重な資料が多数展示されており、いい勉強になりました。村上水軍の世界と桜を堪能できる、おいしい授業をありがとうございました。
(報告=杉山里奈)