花曇りの朝、9時に川内ICから高速道路に入った。その90分後に「無肥料」「コンパニオンプランツ」などを知ることになるとは夢にも思わず、ただ「レッドパール」という美しくミステリアスな名前のイチゴに会えることを楽しみに、南を目指した。
私自身は農業とは無縁だが、これまで4軒の農家を訪ねたことがある。どこも「産地直送」「無農薬」「有機栽培」など、様々な工夫をされていた。ところが梶原農園は、農薬を使わないどころか、「耕さない」「肥料を使わない」「駆虫しない」「ボイラーがない」「旬以外にはない」と「ないない」づくし! けれども、イチゴ畑ににんにくが「ある」・・・。とにかくユニークで驚きの「宝石箱!」だった(パールだけに・・・)。
初めて聞く言葉や知識の数々で、最初は驚いてばかりだったが、次々疑問が湧いてきた。梶原先生はそれぞれの質問に丁寧に答えてくださるだけではなく、身近なもので例えるなど、イメージしやすいように細心してくださった。梶原農園の育て方は、すべてにおいて「無理がない」ことではないか、と思った。人工的、作為的に何かをするのではなく、作物や土の本来の力を活かす農法なのではないか、と素人ながらに解釈した。宇和島の真珠にちなんで命名された「レッドパール」、地元で盛り上げていきたいと思った。
過去の「イチゴ狩り」の体験から、直売イチゴを買って帰るつもりでいたが、そんなお気楽なものではないことがわかった。苦労して育てられた貴重な「レッドパール」を少々いただくことができた。市場に出回っている有名品種は、確かに甘いが大味。「レッドパール」は甘さはもちろん、濃厚で味がしまっていた。洗わなくても安心していただくことができたのは無農薬のおかげ。
その夜のテレビで、「無添加、無香料・・・」という、これまた「無」がつく化粧品CMを見た。これまで何度も眺めてきたCMだが、初めてこのCMを「見た」気がした。関係者の皆さんと、この授業を成立させてくれた生徒の皆さんに感謝したい。
(報告=高市瑞穂)