「夜の干潟を歩く」そんな企画に食いついてしまった。
夜の動物園や星空観測など夜に開催されるイベントはいろいろあるが、干潟を歩くなんて誰が思いついたのだろう。
西条に住んで40年近くになる。昼間の干潟はずいぶん見てきた。瀬戸内海は遠浅で潮が引くとどこまでも続き、いったいどこまで行けるのだろうと思ってはいたが、実際に歩いてみようという発想は無かった。
朝3時30分JR西条駅に集合。そして加茂川河口へ。潮が引いている。
夜の干潟を間近に見るのは初めてだ。初めて着用するウェーダーに戸惑いを感じつつ、いよいよ干潟へ足を踏み入れる。
思ったより歩きやすいが、深みにはまるとよろけそうになる。
1.8キロほど歩くと、海苔の養殖場に着く。満潮時のここの水深は2メートルだそうだ。この時間、この場所にいる自分が不思議に思えてくる。黒海苔、青海苔が養殖の棒にくっついている。
足元をみると、ヤドカリやえび、マテ貝などの生物が!あらゆる生命が生きていると実感できる場所だ。
一方、空を眺めると降り注ぐ星。夏の星座「さそり座」も顔を出しており、厳しい冬から着実に季節は変わっていることを実感。
そこから200メートルくらい歩き干潟の果てへ。ようやく波の音が聞くことが出来た。地べたに座り、温かいコーヒーを頂いた。波音、星空、そして行くことなど思っても見なかった場所。
3時間弱の短い体験であったが、非日常を十分に実感できた。授業を企画していただいた先生や関係者、皆様本当にありがとうございました。
【報告者:日野 勉】