11月10日、初めて「いよココロザシ大学」の講座を受講してきました。今回、主人に誘われ参加したのは、小田深山でネイチャーガイドの案内のもと自然観察ができるというもの。初めての講座は、想像していたよりも刺激的で多くの発見がありました。
一昨年の冬に一度だけスノボで行ったことのある小田深山はやはり松山とは一味違う寒さ。まず連れていって頂いたのが、廃校になった旧深山小中学校跡。ここが現在は「森の学校」の活動拠点になっています。体育館の中は外気温よりもさらにひんやりと感じました。ここで、講師の高本さんより小田深山の現状とこれまでの活動に関する説明を受けました。
高本さんの話によると、小田深山は戦後の燃料需要のため大量の木が切り出され、その後利用価値の高い杉が植林されたとのこと。杉の根は浅く張るため、地盤の支持力が低下します。また、杉は常緑樹であるため、落葉樹の落ち葉のように新たに土壌を形成ません。その理由もあり、山の水源涵養力が低下して、下流域の水害の原因や鉄砲水の原因になっているとのことでしだ。そのため、高本さんは小田深山に落葉樹を植える活動をすると共に、環境教育により次世代にその考え方を伝える活動をしていらっしゃいます。
高本さんは幼い頃から小田深山に親しんできた山の達人です。どこに何があるか、山の効能を肌で知っています。また、私にとって最も印象的だったのが、植物の名前や地質などのアカデミックな知識よりも山と人の関係にとにかく詳しく、またそのことをとても大切にしていらしたこと。
高本さんは経済的価値が重視される現代社会に批判的な目を向けつつも、やはりそれに適応して林業を持続的に自立させる道を模索されていました。林業はできる季節が限られており、林業+αが必要なようです。αは農業なのか木工なのか…。今は人口が0になったため、廃校になった小中学校にもかつては100人もの児童生徒がいたと言うから、かつての林業の勢いたるやすごいものがあったのでしょう。
さて、高本さんにより講義のあとはお待ちかねのトレッキングです。高本さんが「奥入瀬以上です」と仰っていましたが、まさにまさに。ここはあの日本一の清流・仁淀川の源流の一つ。川の水をそのまま飲めてしまいます。実際に飲みましたが、苦さも臭さもなく、とてもおいしかったです。透明度が高い川なので川底に沈んだ落ち葉がよく見え、川面に写る落ち葉と相まって上も下も本当に綺麗でした。
トレッキング中、私が一番感動したのは苔むした切り株から無数の小さな木の芽が出ていたこと。これを倒木更新と言うんだよと説明を受けました。このように自然の生命は何度も繰り返されてきたのでしょう。川原には表土が流出してまさに石の上に生える木がいくつもあり、生命の力強さを感じました。
途中の川原で休憩中に、参加者全員に俳句を読む宿題が。その場で発表されることなく回収され、どうするのだろうと思っていたら、トレッキングの最後に、全員に色紙と先程の俳句カードがランダムに配られました。自分の最も心に残った風景をクレヨンでスケッチして、渡された俳句を空いたスペースに書くというもの。同じ体験をしても、参加者それぞれが描く風景、読む句の内容が異なり、とても面白かったです。「人は皆違う」という当たり前の事実を改めて興味深く捉えることができました。
今回の参加者は、コーディネーターの方々以外の生徒は主人、私、友人の3名。少人数ならではの近い距離感とアットホームな雰囲気で、終始リラックスして参加することができました。また、コーディネーターの方々も地域に積極的に関わるだけあって、非常に面白そうな方々ばかりで、とても良いご縁ができたと思います。
今回、このような機会をくださった、いよココロザシ大学のコーディネーターの方々と講師の高本さんにとても感謝しています。ありがとうございました。また面白そうな講座があれば、ぜひ参加させていただきたと思います。
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青砥 奈智】